合鴨農法うまくいくコツ4(合鴨いざ投入編)
さて、前回の記事では遊泳訓練を開始する部分について触れました。
→【合鴨農法うまくいくコツ3(水浴び~泳ぐ練習編)】
田植えと補植が完了し、活着を確認した時点で即、合鴨を投入します。
雑草の発生が多い田んぼにはすでにノビエがちょろちょろと生えだしてきているはずです。
ぼやぼやしてると、合鴨の食べ残しを取ってまわらなくてはならないハメに・・・。
合鴨農法の良い所は、稲の株元のノビエもほぼ完全に食べてくれるところです。
ガンズメや、他の除草具は必ず株元に雑草が残ります。
これは1本ずつ人の手で取らなくてはなりません。
機械除草の後、取り残しを人力で行うのであれば二度手間とすら感じます。
雑草を1本も見逃さないという位に完璧に除草したい人は、さらに時間がかかるはずです。
一般的に合鴨農法は手がかかると言われます。
しかし、除草に費やす時間と苦労を考えると合鴨農法がはるかに楽だと思います。
合鴨農法では、基本的に一度放鳥したが最後、田んぼに入る必要が出てきません。
雑草の食べ残しだって、稲の生育を邪魔しない程度なら目をつぶる事だってできます。
(他の田んぼに迷惑がかかるような生やし方はもちろんバツです。)
これはかなりのメリットでは?除草剤並みの省力化が実現します。
放鳥日の選び方は?
良く晴れた日の午前中がベストです。
いくら遊泳訓練をしたからといって油断は禁物です。
田んぼは水量が多く温まりにくい為、水温が低いという事もあります。
小さなヒナを入れるわけですから、中には急激に弱る個体も出てきます。
そのほとんどが羽毛を濡らしたまま乾かせずにいます。
元気の良いヒナたちは餌を求めて広い田んぼをさかんに泳ぎ回ります。
それについて行こうと必死に追いかけ、徐々に体温を奪われていきます。
死亡数を減らすには注意深く観察することが必要です。
衰弱しているヒナを発見したら、すぐに保護しドライヤーなどで乾かします。
保温電球を設置した小屋に戻し体力の回復をはかります。
砂糖水やブドウ糖を飲ませるとより早く回復するようです。
休憩所や小屋は必要?
合鴨農法にもいろんなやり方があるので一概には言えません。
私が行う方法では、休憩所(正確にはエサ場)と小屋の両方を用意しています。
餌場はネット越しのすぐそこに、小屋は田んぼの中央付近に設置しています。
細かいですが、小屋の設置について幾つか。
写真では市販の犬小屋を使っています。が、小さすぎます(笑)
鴨が大きくなってきたら、実質3~4羽くらいしか入居できません。
ほとんどが小屋にかかるスロープに座っています・・・。
田んぼの片隅に、別に小屋及び陸地を設けるとよいでしょう。
1区画何反もあるような田んぼで合鴨農法をやってらっしゃる方はそうしているようです。
この小屋は、田んぼに収穫コンテナの低いヤツを埋め込み、その上に設置しています。
小屋がズレないように4か所に鉄筋を打ち込んで固定しています。
小さい点でもうひとつ。
写真のような小屋を田んぼの中に設置する場合、スロープを作ります。
そのスロープの下部は完全に土中に埋め込むような感じに設置します。
放鳥後のヒナはとても小さいので、少しでも段差を無くしスロープに上がりやすくしてあげます。
さらにもうひとつ。
放鳥直後のヒナは田んぼに設置してある小屋に入ろうとしません。
なので、小屋周辺とスロープ上、小屋内に餌をばらまき誘導します。
小屋に入ることを覚えると、その後は習慣的に利用するようになります。
放鳥した日の内に小屋を利用するように仕向けます。
万が一、小屋に入らなかった場合、夜のうちに体温が下がり朝には水面で死んでいる可能性もあります。
それを防止するうえでも、放鳥は午前中に行い小屋の利用を促す時間を確保します。
餌のやり方と量は?
草を食べさせる為に合鴨を入れるのに、別に餌は必要なの?と思う方もいるでしょう。
田んぼには沢山の虫がいて、雑草が生えます。
田んぼの面積に対して合鴨の数が少なければ、基本的に餌はいらないはずです。
食べる量よりも生えてくる草が多いでしょうから。
しかし、これでは合鴨農法が成立しません。草だらけになってしまいます。
要はバランスです。
今年(2016年)は5aに9羽放鳥しています。
ギリギリのラインは7羽くらいです。
11羽注文、保育期に2羽死亡。
放鳥後に3羽衰弱、保護した後、3羽を再び放鳥。
7月13日現在、いい感じに除草されています。
合鴨が小さいうちは積極的に餌を与えるようにしています。
去年の小米(クズ米)と養鶏飼料を混ぜたものを使用しています。
雨の日は水温も低く体力が落ちるのではないか?と考え多めに与えています。
逆に、晴れの日は除草に励んでもらいたいので少なめです。
餌を毎日与えると草を食べなくなりそうですが、そんなこともないようです。
私の考えは、餌を多めに与え、体作りを行う事で草も沢山食べてくれるのではないか?というものです。
体が大きい→いっぱい食べる→いっぱいフンをする→いっぱい中耕する。
こうなることを期待して餌を与えます。
※更新追記:
2016年は5aに9羽放鳥。今までより放鳥数が多い為、少し草を生やしてみる試みを行った。
あまりにも早く草が無くなると、餌を多く与えなければならないと考えた為である。
(あくまでバランスの確認であり、餌をケチってるわけではない。笑)
それと、9羽でどこまで除草できるかを試したかったのもある。
そして田植え後、超浅水(田面が露出する日もあった)にて管理。
活着と分げつは促進されましたが、想定していた通りノビエがどんどん生えてきました。
給餌なしで管理すれば良かったのかもしれませんが、気温が低い日が続いたので多めに餌を与えました。
案の定、ノビエは残り、結局田んぼに入り除草するハメに・・・。
軽い気持ちの実験でしたが、重い気持ちで除草しています(笑)
稲の養分をガッツリ奪い取るコナギの発生はありません。
田植え後の管理の王道は・・・
① 給餌量少なめ
② ノビエの生育をやや抑制できる程度の深水
③ 給餌の際、田んぼ全体(又は一部)に小米をばら撒き回遊を促す
この経験で得たヒント
まだ小さい合鴨ヒナを田んぼに放鳥すると体温低下で弱るヒナが必ず出てきます。
ノビエを抑制するには深水が基本ですが、そうすると溺れるヒナも出てきます。
深水管理をするには、遊泳訓練の時期を長くするか、ヒナを少し大きく育ててから放鳥するのもいいかと思います。
放鳥後は早期に休憩所(陸地)を認識させる事が大切です。
そうしないと、いつまでも泳ぎ続けます。
体力のある個体はすぐに適応するので、弱りそうだなと思うヒナを早めに保護し再飼育するのも良いでしょう。
頭を前後に振らずに泳いでいる子は、結構な確率で弱ります。
注意深く観察してあげてください!
また何か変化があれば追記します!