リン酸の働き
必須3要素に含まれるリン酸。よくご存知かとは思いますが改めて考えてみましょう。植物体の中ではこんな働きをしています。
◆作物の根の発育、茎の枝分かれ、葉数の増加を盛んにし開花、結実を促進する。
◆植物体内各部に含まれており、細胞核のタンパクをつくる成分である。
◆生長の盛んな部分(根の先端、芽、子実)に移動し細胞の増加に役立っている。
◆重要な代謝作用を行っているところに多く集まっている。
以上の事実から次のようなことが言えます。
◆適当なリン酸が吸収されると、子実の割合が増加し、根菜などは根部の生育が促進されるため収量が増加する。
◆細胞が激しく増加する生育初期に適量のリン酸が吸収されていると、生育は促進され作物は強健に育ち病気などに対する抵抗力も強くなる。
リン酸の特徴
◆火山灰土ではアルミニウムとくっつきリン酸アルミニウムとなり作物に吸収されない形になる
◆赤土では鉄とくっつきリン酸鉄になり作物に吸収されない形になる。
◆生育初期ではリン酸欠乏症は見た目にもわかる(伸長が停滞する)が中期~後期になると目立たなくなるため、成り疲れと感じたりする。
リン酸と仲が良い要素
◎マグネシウム
リン酸の吸収を良くし、更に生長が活発な所に運ぶ役目もする。
◎ケイ酸
◎カルシウム
◎窒素
リン酸と仲が悪い要素
×カリ
カリとマグネシウムは仲が悪くお互いの吸収を阻害する。
×鉄
上記の通りリン酸鉄になるため作物に利用されにくくなる。
×亜鉛
×銅
リン酸を効かすにはどうする?
酸性の矯正をする。炭酸カルシウムを施用(10aに80~120kg)し、リン酸と仲が良いカルシウムの力を借りて効かす!
土に直接施用したら、上記の通り、リン酸鉄やリン酸アルミニウムになってしまうため、堆肥と混ぜて施用し土に直接リン酸が触れないようにして効かす。いっその事炭酸カルシウムも堆肥に混ぜ込んでおくと仕事が速い!
生育中期~後期の為に「く溶性リン酸」を施用する。「く溶性」とは、作物の根の先っぽから出るクエン酸やピシジン酸に溶ける性質の事。作物の根っこからは、このような酸を分泌させ各栄養分を溶かし吸収している。作物の根っこから出る酸によって徐々に利用されるため土の中のアルミや鉄とくっつかなくてすむ。
特に火山灰土では、リン酸がアルミとくっつく性質が強いので多めに施用する。
施用したリン酸の吸収利用率は25%で(最高値)が作物に利用されている。時には10%程度しか利用されない場合もある。
マグネシウムと一緒に施用する。上記の通り、マグネシウムはリン酸の吸収や、リン酸の作物体内での移動に役立っているため。注意しなければいけないのは、リン酸を効かそうと思ってマグネシウムを過剰に施用すると、今度はカリ欠乏になる。