窒素の作物体内での働き
作物が生長を続けるには必ず窒素が必要ですね。根の発育を助け、茎や葉っぱを伸長させ葉の緑色を良くします。
皆さんも経験があると思いますが、窒素をあまり与えずに作物を栽培すると質の高い作物を沢山収穫することは限りなく難しくなってきます。かといって窒素を過剰に施用すると作物体は軟弱になり、病気や徒長といった弊害が頻発することに。作物はアンモニアや硝酸を吸収し、アミノ酸をつくります。このアミノ酸からタンパクができます。
(アンモニア ・硝酸)
↓
(吸収される)
↓
(アミノ酸になる)
↓
(タンパク)
グリシン | アルギニン | ヒスチジン |
アラニン | グルタミン酸 | リジン |
ヴァリン | アスパラギン酸 | ヒドロキシグルタミン酸 |
ロイシン | イソロイシン | ノルロイシン |
セリン | スレオニン | フェニルアラニン |
チロシン | トリプトファン | プロリン |
メチオニン | シスチン | システイン |
ヒドロキシプロリン |
窒素過多に対しての解説
窒素過多の稲が倒伏している圃場をよく見かけます。これは菌や虫の好きな養分となる「アミノ酸」や「アミノ酸アミド」の含量が高まりやすくなるためです。それらを養分(エサ)にしているために、虫がたかったり、病気が炸裂したりするのです。窒素過多になると、病虫害が多発しますがその原因は意外と知られていません。
もうひとつの原因としては、炭水化物がアンモニアとの反応に取られて細胞壁が薄くなり、外部からの刺激に弱くなる為と考えられます。簡単に言ったら…葉っぱの細胞が弱くなり抵抗力が減るということです!
硝酸作物とアンモニア作物という表現に対しての誤解
一般的に硝酸作物は硝酸態窒素を主に利用吸収すると思われていますが、実の所は…「硝酸作物は、アンモニア態窒素を主に吸収するが硝酸をも利用できる」の意である。
アンモニア!?
根から吸収するのは硝酸態窒素じゃないの!?
勉強された方ならそう思うはずです。植物の窒素同化は根から吸収されたアンモニアに始まります。
根はアンモニアをアミノ酸に変え葉に転流します。
逆に…
「アンモニア作物はアンモニア態窒素を利用吸収するが、硝酸態窒素は利用できない」の意である。
どちらの窒素を好むかの判断はなかなか難しいところです。土のpHによってもどちらを利用吸収しているかが違ってきます。
窒素と相性の良い要素
○相助作用のある要素○
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窒素の吸収をもっとも助けているのが「リン酸」です。要するに窒素を効かせたいならリン酸を効かせろっ!ということですね~。
相性の悪い要素
×拮抗作用のある要素×
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特にありません・・・全ての要素と相性が良いということになります。
●窒素肥料の形態別解説はまた次の機会に委ねたいと思います。
以上で窒素に関するおはなしを終えたいと思います。最後までお付き合い頂きありがとうございます。
2006年2月4日